東日本大震災関連情報 サイトを移動するためのスキップリンクです。 本文へジャンプ このページに関連するメニューへジャンプ このサイトの共通メニューへジャンプ 放射線医学総合研究所 放射線Q&A 交通のご案内 お問い合わせ サイトマップ Engilsh 文字サイズ変更 小さく 標準 大きく ここからサイト内共通メニューです 放医研について 研究領域・活動 情報公開 図書・刊行物 お知らせ・ご案内 現在位置 トップページ お知らせ・ご案内 お知らせ ------ここから本文です--------- 放射線被ばくに関するQ&A 平成23年9月27日(火) 17:50更新 以下の解説は、更新された時点での情報であり、今後東京電力(株)福島第一原子力発電所事故の状況の変化や政策等の変更によって、一部記載と異なる場合があります。予めご了解ください。 目次 原子力発電所の事故によって大気中に放出された放射性物質は、人にどのような影響がありますか。被ばくした量との関係、特に100ミリシーベルト(mSv)の意味について教えて下さい。(NEW) シーベルトという単位について、改めて教えてください。 人工放射線と自然放射線とで、人体への影響に違いがありますか? 微量の尿中セシウムによって膀胱がんが増加するのでしょうか?(NEW) 普通に暮らしていても日常生活で被ばくしているというのは本当でしょうか? 私は妊婦です。放射線の影響はありませんか?(NEW) 規制値内の食品であっても少し心配です。妊婦や子どもへの影響はありますか?(NEW) 放射線を浴びると、妊娠しにくくなったりすることがありますか? 首都圏に住んでいますが、事故から数日後に雨に濡れました。健康に影響はないでしょうか?(NEW) 室内が暑いときに、窓を開けて良いですか?服装や洗濯物の取り扱いについても教えてください。 プールに入っても大丈夫ですか? 今でも雨に濡れないようにすべきでしょうか? 首都圏に住んでいますが、外出を避けたほうがいいですか? いまでも放射線のレベルが高い場所があります。大丈夫でしょうか?(NEW) 3月22日に東京都の金町浄水場の水道水に、1リットルあたり210ベクレルの放射性ヨウ素が含まれていると報道がありました。今でもペットボトルの水を調理などに使用しています。水道水を使っても大丈夫でしょうか?(NEW) 放射性物質が含まれた水道水を、シャワーやうがい、歯磨きなどに使っても大丈夫ですか?(NEW) 放射性ヨウ素を含んだ水を沸騰すると、放射性ヨウ素が蒸発すると聞きましたが、本当ですか? 浄水器等で濾過できますか?(NEW) 放射性物質で汚染された食べ物のことが報道されていますが、野菜などを食べる際に気をつけることはありますか?(NEW) 学校給食に使用される野菜は大丈夫ですか?(NEW) お店で売っている魚や肉は食べても大丈夫ですか?(NEW) 報道で伝えられる数値の意味を教えて下さい。(NEW) 被ばくの検査(外部の汚染検査)をしてほしいのですが、できますか?(NEW) 被ばくの検査(内部の汚染検査)をしてほしいのですが、できますか?(NEW) ホールボディカウンター測定で、何が分かりますか?(NEW) 福島県から避難されてきた方を受け入れても大丈夫ですか?(NEW) 人での放射性物質の除染とは、どのようなことを行うのですか? 家でもできますか?(NEW) 避難地域、屋内退避地域の住民ですが、避難する時に着た服や、汚染検査で放射能が検出された服はどうすれば良いですか?(NEW) 個人で放射線量を測りたいのですが、測定器の種類によって違いはありますか? 庭の放射線量を測りましたが、空間線量率の高い場所がありました。なぜですか? 安定ヨウ素剤はどのように服用すれば良いですか?(NEW) 一度体内に取り込まれた放射性ヨウ素はどうなるのでしょうか?(NEW) 東京に住んでいます。これから福島県でボランティア活動をしたいのですが、被ばくが心配です。安定ヨウ素剤は入手できますか?(NEW) 安定ヨウ素剤に代わるものはありませんか? カリウムがよいと聞きましたが、バナナを食べるのはどうでしょうか?(NEW) 私は甲状腺機能亢進症で加療中ですが、水道水中の放射性ヨウ素の影響は大丈夫でしょうか?(NEW) 私にはヨードアレルギーがあります。安定ヨウ素剤は飲めないのでしょうか? 量を減らしても駄目でしょうか?(NEW) ヨードアレルギーです。今回首都圏に降下した放射性ヨウ素でアレルギーが起きるでしょうか?(NEW) 私は橋本病(慢性甲状腺炎)と診断されており、特に加療はしていませんが、経過観察中です。今回の原発事故で放射性ヨウ素のことがよく言われていますが、病気への影響はありませんか?(NEW) 布団を4時間くらい外に干しました。甲状腺の手術の既往がありますが、その布団に寝ても大丈夫でしょうか?(NEW) 東京電力福島第一原子力発電所の敷地内で微量のプルトニウムが検出されたようですが、健康への影響はありませんか?(NEW) 今回の事故に対してとられている放射線に関する基準は、外国に比べて甘いのではないですか?(NEW) 放射線の単位について(NEW) 1.原子力発電所の事故によって大気中に放出された放射性物質は、人にどのような影響がありますか。被ばくした量との関係、特に100ミリシーベルト(mSv)の意味について教えて下さい。 大気中に放出された放射性物質は、地表面や建物などに沈着して、環境中にとどまることがあります。この場合、地面等からガンマ線を受けますが、体外にある放射性物質からの被ばくですので、外部被ばくと分類されます。 一方、大気中の放射性物質の吸入、放射性物質により汚染した飲料水や農作物を摂取することにより、体内に取り込まれた放射性物質による被ばくが考えられます。こちらは内部被ばくと呼ばれます。 放射線に被ばくすると健康に影響を及ぼすことがありますが、内部被ばく、外部被ばくに関係なく、その影響の程度や種類は受けた放射線の量(以下線量といいます)に依存します。長期的な影響として、受けた線量が高いほど数年後から数十年後にがんになる危険性が高まると考えられています。 下の図をご覧ください。がんは放射線だけでなく、食事、喫煙、ウィルス、大気汚染など様々な要因によって発症すると考えられます。起こった個々のがんが放射線によるものであると特定することはできません。従って、放射線でがんが起きているかどうかを検証するには、多くの集団において、受けた線量とともにがんが起こる確率も上昇するかどうかを調べる必要があります。原爆被爆者を主とした疫学調査では、およそ100ミリシーベルト以上の線量※では、線量とともにがん死亡が増加することが確認されています。およそ100ミリシーベルトまでの線量では、放射線とがんについての研究結果に一貫性はなく、放射線によりがん死亡が増えることを示す明確な証拠はありません。しかしながら放射線防護の目的のための慎重な考え方として、年間100ミリシーベルトまでゆっくりと被ばくする場合、放射線によるがん死亡が1000ミリシーベルトあたりおよそ5%であるとされており、国際放射線防護委員会(ICRP)もこれを妥当であるとしています。 日本人は元々約30%(1000人のうち300人)ががんで亡くなっています。この国際的な推定値を用いると、仮に1000人の方が100ミリシーベルト※※の線量を受けたとすると、生涯にがんで亡くなる方が300人から305人に増加すると計算できます。ただし、ICRPは同時に、この仮定は確実ではないが起こる可能性のある障害を予防するという考え方であり、100ミリシーベルトよりもごく低い線量を合計して集団で出るがんなどの症例数を計算するといった影響の評価には不確実性が大きく、適切でないと述べています。 ※この線量は臓器ごとに放射線感受性の重みづけをして足し合わせた実効線量と呼ばれる線量で、外部被ばくと内部被ばくを受けた場合はそれらを合計した線量です。「2.シーベルトという単位について、改めて教えてください。」もご参照ください。 ※※ここで言う100ミリシーベルトとは年間の被ばく線量ではなく、これまで受けた積算線量です。また、この100ミリシーベルトには自然界から受ける放射線量(日本人で年間平均約1.5ミリシーベルト)は含まれません。(平成23年9月27日更新) 目次へ戻る 2.シーベルトという単位について、改めて教えてください。 シーベルトという単位を使う数量はいろいろありますが、共通しているのは放射線の人体への影響の強さを表すと言う事です。以下、実効線量と呼ばれている数量について解説します。 ひと言に放射線と言っても、その種類やエネルギーの強さは様々であり,それによって人体への影響の強さが変わります。また、被ばくの形態が内部被ばくか外部被ばくか、内部被ばくの場合は放射性同位元素の代謝の速さなどによっても変わり、さらに代謝の速さは年齢とともに変わります。このように、放射線被ばくには様々な要因が関係しており、人体への影響を単純に比較することができません。そこで放射線の強さを“人間への影響の強さ”として統一的に表すために作られた単位がシーベルトです。シーベルトで表されているときには、被ばくの状態や放射線の種類などのさまざまな条件にかかわらず、一律に“影響の強さ”として表すことができます。シーベルト数が同じであれば、人体への影響は同じであり、また別々の被ばくの影響を足し算することもできます。 内部被ばくの場合にも、その影響の強さをシーベルトで表します。これは「預託実効線量」と言って、その時に摂取した放射能から受ける一生分(大人は50年、子どもは70歳になるまでの年数)の総線量として計算されます。例えば、ある食物を摂取することによって計算された被ばく線量が50マイクロシーベルトとされた場合、その食物による一生涯での被ばく線量が50マイクロシーベルトと言う事です。毎年50マイクロシーベルト被ばくするとか、毎日50マイクロシーベルト被ばくすると言う事ではありません。放射線の種類については以下の「放射線って何?」をご参照ください。 放射線の単位は何かな?(放射線Q&A:放射線関係) 目次へ戻る 3.人工放射線と自然放射線とで、人体への影響に違いがありますか? 放射線を出す放射性物質※には、セシウム137やストロンチウム90など、核実験や原子力発電などによって生成される人工放射性物質と、カリウム40やトリウム232など、天然に存在する自然放射性物質があります。人工放射性物質から放出される放射線を人工放射線、自然放射性物質から放出される放射線を自然放射線と言う事がありますが、人工放射線も自然放射線も物理的な放射線の種類としてはアルファ線、ベータ線、ガンマ線などであり、同じものです。そのため、同じ種類、同じエネルギー、同じ量の放射線が人体の同じ部位に当たった場合、人工放射線も自然放射線も影響は同じです。自然放射線は体に良く、人工放射線は体に悪いということはありません。内部被ばくの場合でも人体への影響は、放射性物質の化学的な性質と、放出する放射線の種類やエネルギーによって影響が違ってきますが、“自然”か“人工”かの違いで人体への影響が変わることはありません。 ※この場合、厳密には放射性核種を指します。 目次へ戻る 4.微量の尿中セシウムによって膀胱がんが増加するのでしょうか? 尿中セシウムによる膀胱がんの発生については、WHOならびにUNSCEARの報告において、チェルノブイリ事故による放射線被ばくによる健康影響では小児の甲状腺がん以外の根拠はないと結論付けられており、これが現在の世界的な多数意見です。微量の尿中セシウムによって、膀胱がんが増加したり、膀胱がんに進展する膀胱炎が起きたりすることはありません。 また、セシウム-137が6Bq/L存在することによる膀胱の被ばく線量は、自然放射性物質で通常我々が受けているK-40による被ばく線量のおよそ20分の一程度にすぎません。 詳しく知りたい方は、医療関係者向けページの、「尿中セシウムによる膀胱がんの発生について」をご覧下さい。 尿中セシウムによる膀胱がんの発生について [PDF 155KB] 目次へ戻る 5.普通に暮らしていても日常生活で被ばくしているというのは本当でしょうか? 普通に生活していても、年間2.4ミリシーベルト(世界平均)の放射線を自然界から受けています。自然放射線の量は、地域により差があります。 放射線というと、原子力発電所や病院での被ばくのような人工放射線を連想しますが、自然界にもいろいろな種類の放射線が存在しています。 大地からの放射線は、地球誕生から存在する地球上の放射性物質に由来しています。また宇宙からも放射線が飛んできますし、大気中のラドン等から放出される放射線もあります。また人の体の中には、食物から取り込まれる放射性物質(カリウム40など)もあります。 これらの自然放射線の量は世界平均で年間2.4ミリシーベルトですが、日本での平均は1.5ミリシーベルトと言われています。 自然放射線の量は地域による差が大きく、世界の中でも高自然放射線地域と呼ばれる地域で、年間10ミリシーベルト以上の放射線を受ける地域もありますが、このような地域で健康影響が発生しているという明確な証拠はありません。 目次へ戻る 6.私は妊婦です。放射線の影響はありませんか? 妊婦の方におかれましても、他のみなさま方と同じ対応で問題ありません。胎児が放射線を受けた場合のがんリスクは、成人が受けた場合より2〜3倍程度高いと考えるべきであるといわれています(ICRP Publication 103)。しかしながら、妊娠期間中に100ミリシーベルト以下では胎児への影響(奇形、精神遅滞など)は起こらないと考えられています。 また、胎児へのその他の影響(小児期や成人期での発がん)について、現在の状況で住民の方が受ける可能性のある少量の放射線から予測される危険性は、生活習慣など放射線以外のものを原因として生じる危険性と比べて、遥かに小さいと考えらます。 また、今回の事故の影響で受ける累積の放射線量は、世界各地で受ける自然放射線の累積量の違いの範囲内におさまる程度であると考えられます。ですから、妊婦だからといって過度に心配する必要はありません。その他、妊婦さんの注意点は、厚生労働省のホームページをご参考ください。(平成23年9月27日更新) 目次へ戻る 7.規制値内の食品であっても少し心配です。妊婦や子どもへの影響はありますか? これについては、日本医学放射線学会や日本産科婦人科学会の見解をを参考にしてください。 日本医学放射線学会「妊娠されている方、子どもを持つご家族の方へ」 日本産婦人科学会「水道水について心配しておられる妊娠・授乳中女性へのご案内」[PDF 103KB] 日本産婦人科学会「水道水について心配しておられる妊娠・授乳中女性へのご案内(続報)」[PDF 148KB] 日本産婦人科学会「放射性ヨウ素(I-131)が検出された母乳に関し、乳児への影響を心配しておられる授乳中女性へのご案内」[PDF 102KB] 日本産婦人科学会「食材中の放射性セシウムについて心配しておられる妊娠・授乳中女性へのご案内」[PDF 104KB] 目次へ戻る 8.放射線を浴びると、妊娠しにくくなったりすることがありますか? 比較的低い線量(精巣に一度に100ミリグレイ※)でも、まれに男性の一時的不妊が起こることがありますが、自然に治癒しますし、その後の妊娠や子どもへの影響もありません。 治らない不妊は、数グレイととても高い線量(=全身に受けたら死に至るような線量)を受けた場合に起こります。 ※ガンマ線、ベータ線の場合は、ほぼ1ミリグレイ=1ミリシーベルトです。 放射線の単位は何かな?(放射線Q&A:放射線関係) 目次へ戻る 9.首都圏に住んでいますが、事故から数日後に雨に濡れました。健康に影響はないでしょうか? 3月15日以降に降った雨の中には事故によって放出された放射性物質が含まれていると考えられますが、その量はわずかです。これまで報告されている空気中の濃度から計算すると、雨に濡れて放射性物質が皮膚についたとしても、健康に影響を与えるような量ではありません※ので、心配する必要はありません。また、現在では雨の中に原発由来の放射性物質は含まれていません。(東京電力(株)は、9月8日に7月下旬から8月上旬の2週間の放出は事故直後の3月15日に比べ、1000万分の一程度と発表しています。また、東京都健康安全研究センターは、6月1日から9月25日までの間で、8月5日(セシウム134と137合計で10.4Bq/m2)および8月6日(セシウム134と137合計で8.4Bq/m2)以外では、ヨウ素とセシウムは不検出と発表しています。(平成23年9月27日更新)) 東京都健康安全研究センター「環境放射線測定結果」 ※雨に含まれていたと考えられる放射性物質の量は3月21日から22日にかけてがピークでした。22日の朝9時から24時間の間にI-131、Cs-134、Cs137がそれぞれ3.6、0.33、0.33Bq/平方センチメートルずつ降下しました。これが皮膚に付着したとすると体の受ける線量はほぼ皮膚でのベータ線からの線量となります。一日中平均に降下があり、30分間濡れ続け、全て皮膚表面に付着したとすると、1時間・単位面積(cm2)当たりの皮膚の等価線量率は I-131: 3.6Bq/cm2 × 1.6(μSv/h)/(Bq/cm2) =5.76μSv/h Cs-134: 0.33 Bq/cm2 × 1.4(μSv/h)/(Bq/cm2) =0.46μSv/h Cs-137: 0.33 Bq/cm2 × 1.6μSv/h)/(Bq/cm2) =0.53μSv/h 合計6.75μSv/hとなります。拭き取り、もしくは帰宅後のシャワーまで被ばくしたとしても、これは皮膚障害が起きるとされている量に比べてとても少ない線量です。実際には3月には衣服に覆われていた面積が大部分であり、衣類による遮蔽係数は、春0.2-0.3、冬0.001とされていますので(ICRP Publication 71)、受けた線量はもっと小さくなります。(IAEA-TECDOC-1162の値を使用)。 目次へ戻る 10.室内が暑いときに、窓を開けても大丈夫でしょうか?服装や洗濯物の取り扱いについても教えてください。 3月には東電福島第一原子力発電所から放射性物質の放出が多く有り、気流に乗って流れてきていました。そのため一部の地域では窓を閉め、換気扇を止めるように指導がなされていました。現在(9月27日)では、原発からの大気中への新たな放射性物質の放出は、仮にあってもごく微量です。(東京電力(株)は、9月8日に7月下旬から8月上旬の2週間の放出は事故直後の3月15日に比べ、1000万分の一程度と発表しています。また、東京都健康安全研究センターは、6月1日から9月25日までの間で、8月5日(セシウム134と137合計で10.4Bq/m2)および8月6日(セシウム134と137合計で8.4Bq/m2)以外では、ヨウ素とセシウムは不検出と発表しています。(平成23年9月27日更新)) 東京都健康安全研究センター「環境放射線測定結果」 現在の空間線量率が高い原因は、空気中に放射性物質が多いためではなく、地面などに沈着した放射性セシウムが放射線を出しているからです。このセシウムは土に強く吸着されているため、再び空気中に漂い出てくることはほとんどありません。従って、窓を開けても大丈夫ですし、エアコン、換気扇も使用して結構です。 同じ理由で長袖、長ズボン、マスクも現在の状況では必要ありません。洗濯物も外に干して大丈夫です。 ただし、万が一、原子力発電所からの放出がまた増えてしまった場合に備えて、情報に気をつけてください。 目次へ戻る 11.プールに入っても大丈夫ですか? 環境省は海水浴場について基準値を発表しましたが、プールについては発表していません。 暫定規制値以下の水を使用しているプールなら心配する必要は無いでしょう。現在(9月27日)ではプールに使用する上水に含まれる放射性物質は検出限界以下となっています。屋外のプールなどで、土などがプールの底に落ちているのが気になるかもしれませんが、放射性セシウムは土などに強く付着しており、水中に溶けだしてくることは、あっても極めて微量です。なお、水には放射線の遮蔽効果があります。 文部科学省HP「福島県内の学校の屋外プールの利用について」 目次へ戻る 12.今でも雨に濡れないようにすべきでしょうか? 現在(9月27日)ではその必要はありません。3月中に降った雨でも、その中に含まれていた放射性物質は健康に影響のあるほどの線量ではありませんでした。現在ではほとんどの地域で雨の中に東京電力福島第一原発事故由来の放射性物質は検出されていません。(東京電力(株)は、9月8日に7月下旬から8月上旬の2週間の放出は事故直後の3月15日に比べ、1000万分の一程度と発表しています。また、東京都健康安全研究センターは、6月1日から9月25日までの間で、8月5日(セシウム134と137合計で10.4Bq/m2)および8月6日(セシウム134と137合計で8.4Bq/m2)以外では、ヨウ素とセシウムは不検出と発表しています。(平成23年9月27日更新)) 東京都健康安全研究センター「環境放射線測定結果」 目次へ戻る 13.首都圏に住んでいますが、外出を避けたほうがいいですか?いまでも放射線のレベルが高い場所があります。大丈夫でしょうか? 事故から現在まで首都圏で観測された放射線の量のうち、局所的に高い線量が観測されていますが、外出を避けなければならないほどの線量ではありません。 3月15日午前9時から午後5時に東京と栃木、群馬、埼玉、千葉、神奈川、山梨、静岡の1都7県で計測された放射線レベルでは最大で、1時間あたり1マイクロシーベルトと報告されています。でもこれは一過性の出来事で、この時の放射性物質を含む空気の流れは殆ど留まることなく通り過ぎました。ところが3月22日から数日の間に、放射性物質を含む空気がやってきたときに、雨で地上に落ち、そのまま沈着してしまいました※。現在、首都圏に空間線量率が少し高い場所があるのはこのためです。放射性物質が空気中に漂っているわけではありません。 被ばくの低減化の観点からは、長時間、局所的に高い線量が観測されている場所にとどまるのを避けるか、放射性物質の除去を考えるべきですが、除去法によっては新たに高濃度汚染箇所を作ってしまう可能性もあり、注意が必要です。 また、サーベイメータなどの測定値には自然界の放射線の量も含まれてしまうので、事故の影響を考える際には注意が必要です。(平成23年9月27日更新) ※このとき沈着した放射性物質のうち、最も量の多かった放射性ヨウ素は半減期が約8日と短いため、現在では殆ど無くなっており、その分、空間線量率も下がってきています。現在の放射線量はCs-137やCs-134によるものが多く占めており、空間線量率の下がり方は少なくなっていますが、長期的に見た場合、現在の値がずっと続くようなことはありません。Csのうち事故直後には約半分ほどを占めていたCs-134の半減期が2年程度のため、放射性物質の量として1年間で3割程度減少します。一方、Cs-137は半減期が30年のため、数年では殆ど減少しません。しかし、空間線量率への影響は、Cs-134のほうがCs-137よりも約2倍以上と大きいため、空間線量率もCs-134の減少を反映して、数年間は下がり続け、1年後には約2割減少します。 また、現在では大気中の浮遊塵は、ほとんど検出されておらず、新たな沈着は有りません。 東京都産業労働局HP「都内における大気浮遊塵の測定結果について」 目次へ戻る 14.3月22日に東京都の金町浄水場の水道水に、1リットルあたり210ベクレルの放射性ヨウ素が含まれていると報道がありました。今でもペットボトルの水を調理などに使用しています。水道水を使っても大丈夫でしょうか? 子供が水道水を飲んでも、また、水道水を料理に使っても放射性ヨウ素の健康への影響を心配する必要はありません。 金町浄水場の水道水の放射性ヨウ素については、その後濃度が低下し、4月6日時点で不検出(1リットルあたり7ベクレル以下)となっています。現在(9月27日)では金町浄水場で不検出(検出限界0.7ベクレル/リットル)となっています。 放射性ヨウ素に関する国の安全規制値は、水1リットルあたり300ベクレル(乳児は100ベクレル)です。この基準は、放射性ヨウ素を含む水を長期間摂取し続けた場合でも「甲状腺が受ける放射線量(※全身が受ける放射線の量ではありません)が1年当り50ミリシーベルト以下」となるように定められています。なお、放射性セシウムの基準は水1リットルあたり200ベクレルです。放射性セシウムは、埼玉県では4月上旬まで一部の浄水場で検出されていますがごく少量でした。また、東京都、神奈川県、千葉県では検出されていません。(平成23年9月27日更新) 目次へ戻る 15.放射性物質が含まれた水道水を、シャワーやうがい、歯磨きなどに使っても大丈夫ですか? 現状の水道水は、浄水場で適切な処理をされ、さらに放射性物質の濃度が測定されており、検出限界以下です。よって飲用や調理に使う場合だけでなく、それ以外の用途で使用しても問題はありません。 例えば、放射性ヨウ素300ベクレル/1リットルの水に大人が毎日2時間ずつ入浴した場合、半減期を考慮しなければ(放射性物質が減衰しないとして)、1ヶ月で全身被ばくは約2.4マイクロシーベルトとなります。(平成23年9月27日更新) (参考)厚生労働省:「福島第一・第二原子力発電所の事故に伴う水道の対応について」 [PDF 145KB] 目次へ戻る 16.放射性ヨウ素を含んだ水を沸騰すると、放射性ヨウ素が蒸発すると聞きましたが、本当ですか? 浄水器等で濾過できますか? 放射性ヨウ素は沸騰してもあまり蒸発しないと考えられます。水分の方がたくさん蒸発し、むしろ放射性ヨウ素が濃縮される場合があります。放射性ヨウ素の除去については、本ホームページ、4月6日の「水道水中のヨウ素-131の除去について」をご参照ください。 水道水中のヨウ素-131の除去について 目次へ戻る 17.放射性物質で汚染された食べ物のことが報道されていますが、野菜などを食べる際に気をつけることはありますか? 暫定基準値を上回る放射性物質に汚染された食品については出荷制限が行われていますが、家庭においても、野菜をよく洗う、煮る(煮汁は捨てる)、皮や外葉をむく、などによって、汚染の低減が期待できます。 以前の記事が掲載された時点(4月8日)では、大気中に放出された放射性核種が葉の表面に付着している状況でした。現在は、野菜類は、ほとんどの放出が終了した後に植えられたものが出荷されています。つまり、放射性核種は大気からの付着ではなく土壌から根を経由するなどにより植物体内に吸収されて、野菜内部に含まれています。そのため、洗浄の効果は、直接放射性核種が野菜表面に付いていた頃に比べますと、低下します。しかし、それでも、ある程度の除染効果はありますし、放射性物質を含む土壌等を野菜から落とすということは、放射性核種の除去につながりますので、土壌を落とす、という観点から丁寧に洗浄することを、おすすめします。 また、放射性セシウムについては茹でることにより、半分程度の除染効果が期待できます。 なお、今後きのこ狩りの時期になりますが、一部の野生きのこには放射性セシウムが高濃度に蓄積されることが知られています※。放射性セシウムが規制値を超えるきのこが産出された地域では、自分できのこを採取することは避けた方がよいでしょう。 現在市販されているキノコは人工栽培物が多く、栽培のための菌床の濃度が高くならない限り心配はありません。(平成23年9月27日更新) ※きのこは元素としてのセシウムを蓄積する傾向にあります。野生きのこ中の放射性セシウムは、その地域への放射性セシウムの沈着量だけでなく、放射性セシウムの土壌中の深さ方向の分布、菌糸の位置、菌の種類等によって変わります。また、土壌中の分布が時間(年)と共に変化すると、きのこ中の濃度も変化することが報告されています。 関連リンク 林野庁HP「野生きのこを採取される皆様への注意喚起について」 目次へ戻る 18.学校給食に使用される野菜は大丈夫ですか? 現在の規制値は暫定的ものですが、実際に出荷されているほとんどの食品は制限値よりかなり低いものです。また、さまざまな産地のものを食べることにより希釈される効果が期待できます。仮に制限値を超えた野菜を何度か食べたとしても、一回当たりの摂取量を考えると大きな線量にはなりません。(平成23年9月27日更新) 目次へ戻る 19.お店で売っている魚や肉は食べても大丈夫ですか? 市場に流通する食品については検査が行われ、食品の暫定規制値を超えた場合には国や自治体に報告することになっています。そのため店で販売されている食品については問題ありません。 先日放射性セシウムが牛肉から検出されましたが、現在分かっている最高値(3200Bq/kg)の牛肉200gを3か月間毎日食べ続けたとした場合、それにより一生涯に受ける放射線量は大きくても0.8mSvを超えません(幼児の場合で計算)。現在は出荷制限がかけられ新規に出回ることは殆どないと考えられます。 参考:牛肉からの暫定規制値を超える放射性セシウムの検出について(農林水産省) なお、原因となった稲わらは鶏や豚のえさになることはありませんので、この件に関しては豚や鶏は問題ありません。牛肉については農林水産省ホームページから最新情報をご覧ください。 農林水産省ホームページ また牛乳については、初期から検査され、出荷制限がされていますので問題ありません。また、放射線の高い地域付近で狩猟で得た肉(イノシシなど)については含まれる放射性物質が高い可能性があるので安全の確認が必要です。 目次へ戻る 20.報道で伝えられる数値の意味を教えて下さい。 100,000cpm(双葉避難所で避難住民の靴から測定された値) 報道で伝えられている100,000cpmについて、一般的に放射線測定に使われているGMサーベイメータで測定したと想定した場合、表面汚染レベルは、およそ400Bq/cm2となります。ただし、測定する機器が異なった場合には、有感面積・機器効率が違うため、計算結果は同じにはなりません。 核種をヨウ素-131と想定し皮膚に付着した場合には、皮膚の吸収線量率の試算は次のとおりです。 皮膚表面汚染密度1Bq/cm2あたりの皮膚吸収線量率(nGy※/h)は、ヨウ素-131の皮膚の深さ70μmのとき、係数は1319(nGy/h)/(Bq/cm2)となり、皮膚(深さ70μm)の吸収線量率は0.53(mGy/h)となります。皮膚の除染を行うことにより、吸収線量率はさらに小さくなります。 ※ガンマ線、ベータ線の場合は、ほぼ1nGy(ナノグレイ) = 1nSv(ナノシーベルト)です。1ナノグレイは1グレイの10億分の1です。 目次へ戻る 21.被ばくの検査(外部の汚染検査)をしてほしいのですが、できますか? 「福島第一原子力発電所に近い南相馬市中心部の相双(そうそう)保健所では8000人以上を検査したが、除染を必要とする基準値を超えた人はいなかった(3月29日、新聞報道)」と報告されています。 福島県のホームページでも(下記のリンク参照)3月13日から8月24日まで22万人を超える検査を行っていますが、健康に影響を及ぼす例は見られなかったと述べられています(除染を必要とする方は3月中に検査した114,488人うち102人のみ)。 また、放射線医学総合研究所では福島第一原子力発電所等で作業をされた方1300名以上の汚染検査を行いましたが、除染を必要とする基準値を超えた人はいませんでした。 以上の状況を考えると、現時点では、現在もなお避難地域内に留まっている方以外については、被ばくの検査(汚染検査)は必要ないと思われます。福島県内でご心配な方は、県内に8ヶ所程度の放射線検査実施施設がありますので、実施状況を以下のURLでご確認の上、お出かけください。 福島県災害対策本部「平成23年東北地方太平洋沖地震による被害状況速報」の「災害関連情報」 目次へ戻る 22.被ばくの検査(内部の汚染検査)をしてほしいのですが、できますか? 誠に申し訳ありませんが、放医研では現在は承ることができません。現在の設備と人員では、事故現場での作業者に対する検査を優先せざるを得ない状況であることを御理解頂きたいと存じます。なお、福島県在住者および福島県から避難された方々に関しては福島県にお問い合わせください。 また、当所では福島県及び国からの依頼により、約180人の計画避難地域等に在住されていた方の内部被ばく検査を行いましたが、半数は内部被ばくは検出されず、検出された方についてもこれによる被ばくは生涯で1ミリシーベルト未満と推定され、将来にわたって健康に影響のあるような被ばくは検出されませんでした。 県民健康管理調査検討委員会資料(福島県ホームページ) 目次へ戻る 23.ホールボディカウンター測定で、何が分かりますか? 体内に取り込まれた放射性物質のうち、ガンマ線を放出する核種について、測定した時点での体内に存在する量が算出できます。ただし、放射性ヨウ素のように半減期が短い放射性物質は既に減衰しており、検出することが難しく、推定することもほとんど出来ません。詳しくは以下のリンクをご覧ください。 放射線医学総合研究所におけるホールボディカウンタの測定方法について 目次へ戻る 24.福島県から避難されてきた方を受け入れても大丈夫ですか? 避難されてきた方からの被ばくを心配していらっしゃるのだと思いますが、全く問題ありません。 「21.被ばくの検査(外部の汚染検査)をしてほしいのですが、できますか?」でもお示ししたとおり、現段階でご自身に除染が必要な方はいらっしゃいません。またその方を受け入れたからと言って、受け入れた方に影響はありません。 福島県から避難されてきた方という理由で、医療機関での受診、アパートなどの入居、就職、学校生活等に差別が生じる事の無いよう、冷静なご対応をお願いします。(平成23年9月27日更新) 目次へ戻る 25.人での放射性物質の除染とは、どのようなことを行うのですか? 家でもできますか? 衣服や髪の毛、皮膚などに付着した放射性物質を取り除くことです。衣服を洗濯したり、お風呂に入る、髪や体を洗うことにより放射性物質は取り除くこと、すなわち除染ができます。これらは家庭でも十分に行うことが出来ます。なお、洗濯やお風呂などに使ったお湯や水は、そのまま捨てて頂いて結構です。(以上平成23年4月8日更新)。警戒区域内居住者の一時立ち入りについても同様にお考え下さい。 なお、その他の場合、現在(9月27日)では新たな空気中への放射性同位元素の放出はありませんので、このような注意は不要です。(東京電力(株)は、9月8日に7月下旬から8月上旬の2週間の放出は事故直後の3月15日に比べ、1000万分の一程度と発表しています。また、東京都健康安全研究センターは、6月1日から9月25日までの間で、8月5日(セシウム134と137合計で10.4Bq/m2)および8月6日(セシウム134と137合計で8.4Bq/m2)以外では、ヨウ素とセシウムは不検出と発表しています。(平成23年9月27日更新)) 東京都健康安全研究センター「環境放射線測定結果」 目次へ戻る 26.避難地域、屋内退避地域の住民ですが、避難する時に着た服や、汚染検査で放射能が検出された服はどうすれば良いですか? 現時点では避難地域、屋内退避地域の住民の方々の服には健康に影響がでるような量の放射線が検出されたことはありません。通常通り洗濯していただき、今後も着ていただいて構いません。(以上は平成23年4月8日更新)。警戒区域内居住者の一時立ち入りについても同様にお考え下さい。 なお、その他の場合、現在(9月27日)では新たな空気中への放射性同位元素の放出はありませんので、このような注意は不要です。(東京電力(株)は、9月8日に7月下旬から8月上旬の2週間の放出は事故直後の3月15日に比べ、1000万分の一程度と発表しています。また、東京都健康安全研究センターは、6月1日から9月25日までの間で、8月5日(セシウム134と137合計で10.4Bq/m2)および8月6日(セシウム134と137合計で8.4Bq/m2)以外では、ヨウ素とセシウムは不検出と発表しています。(平成23年9月27日更新)) 東京都健康安全研究センター「環境放射線測定結果」 目次へ戻る 27.個人で放射線量を測りたいのですが、測定器の種類によって違いはありますか? 一般用の簡易線量計に多いGM型の測定器では、ガンマ線のエネルギーに対する校正※の問題から高めの値を表示する傾向があり、正確に測定できないことがあります。場所による線量率の大小を比較するおおよその目安程度に考えてください。電離箱式の線量計は正確ですが、感度がやや低くなります。現在問題になっているセシウムによるガンマ線を計測するには、シンチレーション式の測定器が最も適しています。 一方、GM型測定器ではベータ線に対する感度が高いために、ベータ線放出核種による表面汚染の検出に優れています。 ※校正:測定器の狂いや精度を、放射線量が正確に分かっている物質を用いて正すこと。 目次へ戻る 28.庭の放射線量を測りましたが、空間線量率の高い場所がありました。なぜですか? 風に乗って飛んできた放射性物質が雨などによって地面に落ちるときに、落ち方がまばらだったり、落ちた直後に雨で流されて一箇所に集まったりするため、局所的に放射性物質の濃度が高い場所ができていることがあります。雨水と一緒に流されてきた塵などの溜まりやすい雨どいの下などが、その例です。一般的に、アスファルトなどの道路より、土の表面で放射性物質の濃度が高くなる傾向にあります。また、草や枯れ草の上に落ちた放射性物質はそのまま留まりやすいと言われています。 なお、庭などの土壌が攪拌されていない限り、現在原子力発電所事故によって放出された放射性セシウムのほとんどは、土壌の表面数cm以内に留まっていると考えられています。従って表面の土壌を除去すると、庭の空間線量率をある程度下げることができます。ただし、ガンマ線は庭の外からも届くため、庭だけを処置しても空間の放射線量が下がらない場合もあります。 目次へ戻る 29.安定ヨウ素剤はどのように服用すれば良いですか? 避難所等で配布される安定ヨウ素剤は、医師の指示通りに服用することが重要です。 安定ヨウ素剤は体の中に入ると甲状腺に集積するので、放射性ヨウ素が入る前や直後に安定ヨウ素剤を服用すると、放射性ヨウ素の甲状腺への取り込みを減らすことができます。 しかし、安定ヨウ素剤はアレルギーなどの副作用をおこす場合もあります。また、安定ヨウ素剤は、放射性ヨウ素が体の中に入った場合のみに有効で、外部被ばくや他の放射性核種には効果がありません。 従って、服用の必要があるかないかは、環境中への放射性ヨウ素の放出量から受ける被ばく量を推定し、医学的観点から決定すべきものです。(平成23年4月8日更新) 目次へ戻る 30.一度体内に取り込まれた放射性ヨウ素はどうなるのでしょうか? 放射性ヨウ素は呼吸や食べ物を通じて体内に入り、血中に移行します。血液中に入ったヨウ素の10〜30%は甲状腺に蓄積されますが、その割合は、放射性でないヨウ素の摂取量に左右されます。甲状腺に取り込まれた放射性ヨウ素は、一生涯そこに留まるわけではなく、少しずつ体外に排出されます。また放射性ヨウ素は時間とともに減衰し、I−131の場合、放射線を出す能力が約8日で半分に減ります。80日目には放射線を出す能力が1000分の1以下となり、ほとんど検出されなくなります。(平成23年4月8日更新)。 体内に取り込まれた放射性ヨウ素に依る内部被ばくについては「2.シーベルトという単位について、改めて教えて下さい。」、「3.人工放射線と自然放射線とで、人体への影響に違いがありますか?」もご参照ください。 目次へ戻る 31.東京に住んでいます。これから福島県でボランティア活動をしたいのですが、被ばくが心配です。安定ヨウ素剤は入手できますか? 安定ヨウ素剤は医師が処方する薬で、通常この様な目的では処方されません。また現時点で、東京電力福島第一原子力発電所内で作業するなどの場合を除き、安定ヨウ素剤は不要です。(平成23年4月8日更新) 目次へ戻る 32.安定ヨウ素剤に代わるものはありませんか?カリウムがよいと聞きましたが、バナナを食べるのはどうでしょうか? 現時点では、代わりになるものはありません。カリウムもヨウ素とは化学的性質が異なりますので、安定ヨウ素剤の代わりにはなりません。(平成23年4月8日更新) 目次へ戻る 33.私は甲状腺機能亢進症で加療中ですが、水道水中の放射性ヨウ素の影響は大丈夫でしょうか? 放射線の観点からもヨウ素の濃度※の観点からも、現在のレベルは、病気への影響が懸念されるレベルではありません。(平成23年4月8日更新)。主治医によくご相談ください。 ※放射性ヨウ素の物質としての量は著しく微量なので、ヨウ素自体として影響する心配はありません。「35.ヨードアレルギーです。今回首都圏に降下した放射性ヨウ素でアレルギーが起きるでしょうか?」もご参照ください。 目次へ戻る 34.私にはヨードアレルギーがあります。安定ヨウ素剤は飲めないのでしょうか? 量を減らしても駄目でしょうか? ヨードアレルギーの方には投与できません。量を減らしてもアレルギーが出る可能性があります。(平成23年4月8日更新) 目次へ戻る 35.ヨードアレルギーです。今回首都圏に降下した放射性ヨウ素でアレルギーが起きるでしょうか? 東京都労働産業局は1時間当たりの浮遊塵中に、3月中に観測された最大値で1立方メートル当たり241ベクレルの放射性ヨウ素が有ったと発表しています。また、東京都健康安全研究センターによると、3月1ヶ月で降下した放射性ヨウ素量は1平方メートル当たり29000ベクレルでした。大量のヨウ素が飛んでいたと思われるかもしれませんが、放出された放射性ヨウ素は物質量としてはごく微量です。 29000ベクレルの放射性ヨウ素は、0.0063ナノグラム(1ナノグラムは10億分の1グラム)になります。 なお、3月中に放出された放射性ヨウ素のうち、量が多く半減期の長いI-131の半減期は8日ですので、現在(9月27日)では500万分の1に減っており、ほぼ検出されなくなっています。また、新たな放出も殆どありません。(東京電力(株)は、9月8日に7月下旬から8月上旬の2週間の放出は事故直後の3月15日に比べ、1000万分の一程度と発表しています。また、東京都健康安全研究センターは、6月1日から9月25日までの間で、8月5日(セシウム134と137合計で10.4Bq/m2)および8月6日(セシウム134と137合計で8.4Bq/m2)以外では、ヨウ素とセシウムは不検出と発表しています。(平成23年9月27日更新)) 関連リンク 東京都労働産業局 東京都健康安全研究センター「環境放射線測定結果」 目次へ戻る 36.私は橋本病(慢性甲状腺炎)と診断されており、特に加療はしていませんが、経過観察中です。今回の原発事故で放射性ヨウ素のことがよく言われていますが、病気への影響はありませんか? 食品や水の摂取制限を守って頂く以外には特段ご注意頂く点はありません。(平成23年4月8日更新) 目次へ戻る 37.布団を4時間くらい外に干しました。甲状腺の手術の既往がありますが、その布団に寝ても大丈夫でしょうか? 大気中の放射性ヨウ素の影響を心配していらっしゃるのだと思いますが、全く問題がありません。(平成23年4月8日更新) 目次へ戻る 38.東京電力福島第一原子力発電所の敷地内で微量のプルトニウムが検出されたようですが、健康への影響はありませんか? プルトニウムは元々自然界にはほとんど存在しない核種です。しかし、現在では微量ですが土壌中に普通に存在します※。これは1950から1960年代に盛んに行われ、その後1980年代まで続いた大気圏内の核実験に由来するものです。これが、土壌に吸着されて未だに残っているわけです。今回の事故で、測定されたプルトニウムは微量で※※、上記の核実験に由来するものとほぼ同じレベルであり、この程度であれば、健康への影響はありません。 プルトニウムはセシウムやヨウ素のように低い温度で気化することはありません。よって現時点では健康に影響が出るような量のプルトニウムが広範囲に飛散する事はありません。ただ、今後の調査により、海側も陸側もその汚染の広がりを慎重に確認していく必要があります。(平成23年9月27日更新) 関連リンク ※文部科学省「環境放射能データベースによると2008年の福島市ではPu-238およびPu-239及び240がそれぞれ0.011〜0.22、 0.029〜4.3Bq/kgが検出されました。過去の放射性物質降下に関するデータは「環境放射能調査研究成果発表会」の第52回成果論文抄録集もご参照下さい。 文部科学省「環境放射能データベース」 環境放射能調査研究成果発表会第52回成果論文抄録集 ※※東京電力福島第1原発敷地内グランドから3月21日に採集した土壌からPu-238およびPu-239, 240がそれぞれ0.54±0.06、0.27±0.04Bq/kg検出されました。同所から8月29日に採取した土からは、それぞれ0.25±0.02、0.12±0.01Bq/kgが検出されています。 東京電力ホームページ「福島第一原子力発電所周辺環境への影響」 目次へ戻る 39.今回の事故に対してとられている放射線に関する基準は、外国に比べて甘いのではないですか? 一般の方々、原子力施設に係る作業者についての放射線に対する基準には、国際放射線防護委員会(ICRP)が示した範囲に沿って検討された値が設定されました。これらの線量の基準は、通常の原子力や放射線の使用の場合、緊急事態期の状況および事故収束後の復旧期での基準は、異なる線量の範囲で設定することが示されています。緊急事態期として設定された基準は今後復旧期の段階として変更される可能性があります。避難のための基準において、チェルノブイリ事故の際の最終的な避難のための基準よりも高いレベルとなっていますが、チェルノブイリ事故でも、事故直後から基準が順次変更されて下げられたという経緯があります。 目次へ戻る 40.放射線の単位について シーベルト(Sv) 人体が放射線を受けた時、その影響の度合いを測る物差しとして使われる単位でグレイを元に放射線の種類による影響の強さと人体組織による影響の違いを考慮したものです。。 1シーベルト=1,000ミリシーベルト=1,000,000マイクロシーベルト 1ミリシーベルト=1,000マイクロシーベルト (「2.シーベルトという単位について、改めて教えてください。」もご参照ください。) ベクレル(Bq) 放射能を表す単位。1ベクレル(Bq)は、1秒間に1個の放射性核種が壊変する場合の放射能を表します。 グレイ(Gy) 放射線が当たった物質が単位質量当たりに吸収したエネルギー量。1Gyは物質1kg当たりに1ジュール(J)のエネルギーが吸収されることを意味する。 目次へ戻る このページの評価・感想をお聞かせください。 とても役に立った 少し役に立った あまり役に立たなかった まったく役に立たなかった -----本文の終わりです------------- ここからこのページに関連するメニューです(ローカルナビby mk_loc_nav) お知らせ・ご案内 プレスリリース 動画ニュース イベント情報 採用情報 調達情報 研修生募集 見学のご案内 共同利用研究募集 原発事故対応 プレスリリース モニタリングポストの指示値について 放医研紹介動画こちらから 周辺住民線量評価システム 寄付金等の取り扱いについて 5分でわかる!放医研 ページの先頭へ戻る ここからフッターメニューです 放医研について 放射線医学総合研究所とは? ごあいさつ 研究所概要 基本理念と行動規範 組織図 役員一覧 国際交流 5分でわかる放医研(別ウィンドウ) 交通のご案内 沿革 お問い合わせ 研究領域・活動 研究部門 共同利用研究:HIMAC 成果報告 論文・各種データベース 放射線 Q&A 研究倫理審査委員会(別ウィンドウ) 公正な研究活動 図書・刊行物 刊行物・パンフレット 図書室利用案内 情報公開 情報公開請求手続きについて 組織関連の情報 業務関連の情報 契約方法関連の情報 財務関連の情報 評価関連の情報 監査関連の情報 運営関連の情報 寄付金のお願い 個人情報関連の情報 社会貢献関連の情報 利益相反マネージメントポリシー 産学官連携 お知らせ・ご案内 プレスリリース 動画ニュース イベント情報 採用情報 調達情報 研修生募集 見学のご案内 共同利用研究募集 HIMACマシンタイム募集(研究領域・活動) ここからフッターメニューです サイトのご利用にあたって 個人情報の取り扱いについて 関連リンク 独立行政法人 放射線医学総合研究所 Copyright (c) 2010 National Institute of Radiological Sciences.